暗号化プロンプトでGrok・Geminiの安全対策を回避
- Adversa AIが暗号化した指示文でAIの安全対策を回避する新手法を発見
- GrokではゼロクリックでユーザーデータをURL経由で外部流出させる攻撃例を確認
- xAIには6月に報告済みだが応答なし、Googleへは対象外のため未報告
かんたんに言うと
悪意ある指示を暗号文で隠し、AIチャットの検閲をすり抜けてから解読させる攻撃手法が見つかりました。企業がAIエージェントに外部サイトを読ませる際は特に注意が必要です。
AIセキュリティとの関連: 生成AIモデル自体の安全機能(ガードレール)を回避する新たな攻撃手法の発見であり、AIの信頼性に直結する問題のため。
一次情報(公式アドバイザリ・CVEレコード等)は確認できていません。本記事は下記の報道をもとに作成しています。
何が起きたか
セキュリティ企業Adversa AIは、AIチャットの安全フィルターを回避する新手法「Cryptographic Context Injection(暗号文脈注入)」を発見したと発表した。安全ガードレールはプロンプトのテキスト内容を解析して危険性を判定するが、暗号化された文字列(暗号文)の中身までは解析できない。攻撃者はこの弱点を突き、悪意ある指示を暗号文として入力する。AIモデルが備えるコード実行環境(サンドボックス)内で暗号文が復号されると、平文の悪意ある指示が「信頼された文脈」として実行されてしまう。xAIのGrokでは、Webページに暗号化JSONと復号指示を仕込み、ユーザーがそのページの要約をAIエージェントに依頼するだけで、セッション情報がURL経由で攻撃者サーバーへ送信されるゼロクリック攻撃が実証された。GoogleのGeminiでは、復号後に「安全のため暗号化して返す」よう仕向けることで、通常なら拒否される危険情報(発火装置の作成手順など)を出力させる例が示された。
誰に・どう影響するか
大企業では、AIエージェントに社内文書や外部Webページの処理を任せる業務が増えており、同様の手口でセッション情報や機密データが外部に流出するリスクがある。特にAIが自律的にツールやURLを呼び出す「エージェント型」の利用では、ユーザーの確認なしに攻撃が完了する点が深刻とされる。中小企業でも、顧客対応や情報収集にAIチャットボットや要約ツールを使う場面は多く、外部サイトの内容をAIに読み込ませる運用があれば同様のリスクを負う。特別なシステム改修をしていなくても、AIサービスをそのまま業務利用している企業は等しく影響を受け得る。
今すぐやるべきアクション
- AIエージェントに外部Webページや未検証の文書を自動処理させる運用を点検する
- AIの出力先URLへの自動アクセスや外部送信機能を制限・監視する
- 利用中のAIサービス提供元(xAI、Google等)の対応状況・アップデート情報を継続的に確認する
- Adversa AIの報告書に記載された防御策(暗号文の事前検知など)の適用を検討する
- 社内でAIエージェントに与える権限を必要最小限にとどめる
重大度の判定理由
重大度「高」: Grokでは未対応のまま悪用可能とされ、ゼロクリックでのデータ流出につながるため影響範囲が広い。